靴べらは、靴より人間を甘やかしている
靴を履くためだけの道具だと思っていたものが、いつの間にか「無理をしないための言い訳」になっている。靴べらをめぐる妙な理屈が広がるうちに、便利さと甘やかしの境目まで怪しくなっていく。
靴を履くためだけの道具だと思っていたものが、いつの間にか「無理をしないための言い訳」になっている。靴べらをめぐる妙な理屈が広がるうちに、便利さと甘やかしの境目まで怪しくなっていく。
玄関の傘立てには、傘が一本もない日にも妙な存在感がある。雨の日のために置かれているはずなのに、晴れた日のほうがその空席を意識してしまう。そこにあるのは傘なのか、それとも「いつか使うかもしれない」という予定なのか。そんなところから、傘立ての役割が少しずつおかしく見えてくる。
車のドア、冷蔵庫、引き出し、玄関。私たちは毎日いろんな「閉まる音」を聞いている。同じ音なのに、なぜか安心する音と、不安になる音がある。「ドアの閉まる音には性格がある」。