それ、最初に笑ったやつほど残る
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Gusha「この前セリアでさ、“袋がスッと開くクリップ”買ったんだけど」
Kenja「また妙な名前の商品だな」
Gusha「いや、ほんとに妙なの。見た目ただの洗濯バサミなのに、“開く”に全振りしてる」
Kenja「全振りってなんだよ」
Gusha「ポテチの袋とか、“あとちょっとで開くのに!”ってなるじゃん。あのイライラを専門に処理してる」
Kenja「専門部署みたいに言うな」
Gusha「最初、“いや指で開けろよ”って思ったの。でも使った瞬間、“あ、こいつ仕事できる…”ってなった」
Kenja「まあ、地味なストレスを減らす道具って、意外と強いからな」
Gusha「そう!セリアの商品って、“世界を変えます”じゃなくて、“3秒ラクになります”なのよ」
Kenja「スケール小さいなあ」
Gusha「でもさ、人間って結局そこじゃん?人生を壊すのって、デカい絶望より、“開かない袋”みたいなやつの積み重ねじゃん?」
Kenja「急に哲学みたいなこと言い始めたな」
Gusha「あと、“コードまとめるやつ”も買った」
Kenja「名前知らないのかよ」
Gusha「正式名称わからん。でも巻ける」
Kenja「雑」
Gusha「イヤホンがカバンの中で暴れてると、“あー…”ってなるじゃん」
Kenja「まあ、絡まってると地味に疲れるな」
Gusha「それがなくなるだけで、“今日は世界が敵じゃないな”って気分になる」
Kenja「だいぶ影響受けてるな」

Gusha「でも悔しいのよ。最初ぜんぶバカにしてたから」
Kenja「わかる。“そんなの必要?”って思うんだよな」
Gusha「特に、“チューブ最後まで絞るやつ”。あれ見た時、“人類そこまで追い詰められてないだろ”って思った」
Kenja「追い詰め…」
Gusha「でも今、歯磨き粉を限界まで回収してる」
Kenja「負けてるじゃねえか」
Gusha「しかも妙に達成感あるの。“うお、まだ3日いける!”って」
Kenja「100円で生活防衛力を上げるな」
Gusha「なんかさ、セリアの商品って、“便利”だけじゃない気がするんだよ」
Kenja「というと?」
Gusha「“気づいてくれてたんだ”感」
Kenja「…ああ」
Gusha「“ここちょっとイヤだったよね”を、知らん誰かが拾ってる感じ」
Kenja「確かに。“こんなの困ってたの自分だけだと思ってた”ってなる時あるな」
Gusha「そう!で、“同志いた〜”ってなる」
Kenja「100円ショップで同志探すな」
Gusha「でもさ、変な商品見るとちょっと安心しない?」
Kenja「安心?」
Gusha「“人類まだこんなこと真面目に考えてんだ”って」
Kenja「…それは少しわかる」
Gusha「だろ?“網戸を静かに閉めたい人”とか、“袋を開けたい人”とか、“とうもろこしをラクに食べたい人”とか」
Kenja「規模が小さい」
Gusha「でも、ちゃんと生きてる感じするじゃん」
Kenja「……」
Gusha「あら?」
Kenja「……」
Gusha「今度セリア行こ」
Kenja「まあ…見るだけなら」
Gusha「“見るだけ”」
Kenja「……袋開けるクリップ、まだあるかな」
Gusha「あれ?」