レジ横の湯気だけで、人はちょっと許される
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Gusha「なあKenja。昨日さ、コンビニ3軒ハシゴした」
Kenja「え、どうしたの?そんなに回ることある?」
Gusha「違う違う。比べてたの。コーヒー」
Kenja「コンビニのコーヒーねぇ」
Gusha「いや、でもちょっと分かったわ。セブンのやつ飲んだあと、ファミマ行ったら『あ、夜っぽい』ってなった」
Kenja「夜っぽい?」
Gusha「味が」
Kenja「説明を雰囲気で押し切るな」
Gusha「ローソンはね、なんか…雨」
Kenja「今度は天気か」
Gusha「でもあるだろ。飲んだ瞬間に『今日これだな』って日」
Kenja「言いたいことは分かるけど、分類が雑すぎる」
Gusha「俺ずっとさ、コンビニコーヒーって全部『眠気どけー!』の飲み物だと思ってたんだよ」
Kenja「まあ用途としては近いだろ」
Gusha「でも昨日、全然眠くないのに買っちゃったの」
Kenja「へえ」
Gusha「なんか、店入った瞬間の匂いで」

Kenja「あー…それはちょっと分かる。あの匂いだけで『朝始まった感』あるよな」
Gusha「そう! あと待ってる時間な。あの数十秒」
Kenja「数十秒?」
Gusha「人生の仮眠」
Kenja「短すぎるだろ」
Gusha「ボーッと機械見てるとさ、『今、豆砕いてます』みたいな音するじゃん」
Kenja「するな」
Gusha「あれ聞いてると、自分までちょっと整備されてる感じする」
Kenja「されてない」
Gusha「でもスタバだと、ちょっと構えちゃう時あるんだよ。『注文うまく言えるかな』とか」
Kenja「まあカスタム文化はあるからな」
Gusha「でもコンビニって、『無』で行けるじゃん」
Kenja「無?」
Gusha「寝ぐせでも行ける。人生終わりかけの顔でも行ける」
Kenja「終わりかけで行くな」
Gusha「あと失敗しても痛くない」
Kenja「値段的に?」
Gusha「うん。120円とか150円だから、『今日は違ったな』でも許せる」
Kenja「その気軽さは確かに強いな」
Gusha「なのに、たまに『え、今日うまっ』って日あるじゃん」
Kenja「豆とか時間帯でも微妙に印象変わるしな」
Gusha「昨日の夜、それ来たのよ」
Kenja「どこで?」
Gusha「高速道路の近くのローソン」
Kenja「急に情景が具体的」
Gusha「なんか大型トラック停まっててさ。雨降ってて。店員さんめっちゃ静かで」
Kenja「うん」
Gusha「その中で飲んだホットコーヒー、異常にうまかった」
Kenja「…まあ、それは空気込みだろうな」
Gusha「いや、でも逆に思ったの。コーヒー単体じゃないんだなって」
Kenja「お、ちょっといいこと言い始めたな」
Gusha「コンビニってさ、『今ここにいる人間を、とりあえず一回落ち着かせる装置』なんじゃない?」
Kenja「規模がでかいな急に」
Gusha「だって夜中2時でも開いてるし、明るいし、温かいし」
Kenja「まあインフラではある」
Gusha「コーヒー買うと、『まだ今日いけるか』ってなる時あるじゃん」
Kenja「…それは、ある」
Gusha「あら?」
Kenja「いや、別に全面同意じゃないぞ」
Gusha「……」
Kenja「……たまにな」
Gusha「あれ?」
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