正しい休憩は、だいたい続かない
Gusha「休憩ってさ、やる気の途中にあると思ってたんだけど違うな」
Kenja「いきなり何の話だ」
Gusha「休憩は、やる気の途中じゃなくて、やる気から逃げた先にある」
Kenja「ずいぶん後ろ向きな定義だな」
Gusha「だって『よし、10分休憩しよう』って決めた休憩より、『もう無理だ』ってソファに倒れた休憩の方が効くじゃん」
Kenja「効くことはあるな」
Gusha「なのに世の中、正しい休憩ばっかり教えてくる」
Kenja「ストレッチとか散歩とかか」
Gusha「そう。背筋を伸ばして、深呼吸して、水を飲んで、みたいな」
Kenja「健康的ではある」
Gusha「でも疲れてる時に、その説明を読むだけで疲れるんだよ」
Kenja「それは休憩の説明が仕事みたいになってるからだな」
Gusha「休憩にも努力が必要になってる」
Kenja「言いたいことは分かる」
Gusha「この前もな。休憩しようと思って動画を見たんだ」
Kenja「普通だな」
Gusha「気づいたら一時間半だった」
Kenja「休憩じゃなくて滞在だな」
Gusha「でも不思議なんだよ。その一時間半は無駄だった気もするし、必要だった気もする」
Kenja「人は無駄と必要をきれいに分けられないからな」
Gusha「仕事は成果で測るのに、休憩まで成果で測り始めるじゃん」
Kenja「確かに『質の高い休憩』という言葉はよく聞く」
Gusha「休憩まで評価制度が導入されてる」
Kenja「会社みたいに言うな」
Gusha「今日は質の高い休憩ができました、星五つですって」
Kenja「レビューサイトか」

Gusha「でもさ、本当に助かるのって、天井見てる時間なんだよな」
Kenja「何もしていない時間か」
Gusha「何もしてないから罪悪感が出る」
Kenja「現代人らしいな」
Gusha「でも、何かを回復させる時間って、だいたい何も起きてないんだよ」
Kenja「筋は通っている」
Gusha「スマホも見ない。本も読まない。音楽も流さない。ただぼーっとしてる」
Kenja「効率は悪そうだ」
Gusha「効率を求めた結果、疲れたんだから、そこに効率を持ち込むの変じゃない?」
Kenja「なるほどな」
Gusha「ご飯だって、栄養だけ考えたら錠剤でいいはずだろ」
Kenja「極論だが」
Gusha「でも実際は、味とか匂いとか雰囲気とかで満たされる」
Kenja「人間は機械じゃないからな」
Gusha「休憩も同じなんだよ」
Kenja「休む行為そのものより、休んだ感じが大事だと」
Gusha「そう。だから正しい休憩が自分に合うとは限らない」
Kenja「散歩で回復する人もいれば、ただ座る人もいる」
Gusha「俺は冷蔵庫を開けて閉める」
Kenja「目的は何だ」
Gusha「ない」
Kenja「ないのか」
Gusha「でもちょっと落ち着く」
Kenja「猫みたいだな」
Gusha「たぶん人間も結構そうだぞ」
Kenja「そうかもしれない」
Gusha「だから最近は休憩に期待しなくなった」
Kenja「どういうことだ」
Gusha「回復しようと思わない」
Kenja「それでいいのか」
Gusha「結果として回復したらラッキーくらい」
Kenja「ずいぶん雑だな」
Gusha「雑なくらいがちょうどいいんだよ。休憩まで頑張り始めたら、本末転倒だし」
Kenja「それは確かにそうだ」
Gusha「だから今日も天井を見て帰る」
Kenja「家に帰ってから見ればいいだろ」
Gusha「いや、今ここで見たい」
Kenja「そんなにか」
Gusha「たぶん天井の方が、休憩の説明書より分かってる」
Kenja「それは否定できないな」
ちゃんとしなくても、暮らせる シリーズ
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