A cloth that's been used to wipe away sweat for a thousand years—it's a little too strong.

千年前から汗を拭いてる布、ちょっと強すぎる

Kenja the Sage と Gusha the Fool

Gusha「……奈良時代?」

Kenja「急にどうした」

Gusha「いや昨日さ、手ぬぐい見てたら“創業三百年”みたいな店いっぱい出てきて」

Kenja「あるな」

Gusha「怖くなった」

Kenja「なんでだよ」

Gusha「だって、俺なんか昨日“猫かわいい〜”で買ったのに、向こう江戸からやってんのよ?」

Kenja「歴史の厚みで負けたんだな」

Gusha「なんか急に、“軽い気持ちですみませんでした”ってなった」

Kenja「別に弟子入りするわけじゃないんだから」

Gusha「でもさ、手ぬぐいって昔からあるんだろ?」

Kenja「かなり古い。原型みたいなのは奈良時代くらいまで遡るって言われてるな」

Gusha「奈良の人も汗拭いてたの?」

Kenja「まあ夏は暑いだろうしな」

Gusha「なんか嫌だな」

Kenja「何が」

Gusha「“あっち〜……”って言いながら鹿の横で顔拭いてる奈良人、急に親近感ある」

Kenja「奈良人って言うな」

Gusha「でも最初は貴族とかが使ってたんだろ?」

Kenja「そう。昔は布自体が貴重だったから、神事とか儀式寄りだな」

Gusha「じゃあ今の俺、ほぼ儀式じゃん」

Kenja「どこが」

Gusha「朝、“今日は青いやつでいくか……”って選んでる時間」

Kenja「まあ、ちょっと神聖ではあるか」

Gusha「だろ?」

In the morning light, she is choosing one hand towel from several options.

Kenja「で、江戸時代くらいから庶民に広まってくる。木綿が普及して、銭湯文化とも一緒に定着した」

Gusha「やっぱ風呂か。なんか似合うもんな、手ぬぐい」

Kenja「頭に乗せてな」

Gusha「俺ちょっとやってみたんだけど」

Kenja「やったの?」

Gusha「三秒で落ちた」

Kenja「現代人だなあ」

Gusha「江戸の人、あれどうなってんの?頭の形?」

Kenja「慣れだろ」

Gusha「いやでも、なんか良かったんだよ」

Kenja「何が」

Gusha「風呂上がりに肩にかけて鏡見たら、“生活してる人”って感じして」

Kenja「今まで生活してなかったのか」

Gusha「なんかタオルだと、“機能”なのよ」

Kenja「ふむ」

Gusha「手ぬぐいだと、“風景”になる」

Kenja「……それはちょっと分かるな」

Gusha「でしょ?」

Kenja「銭湯とか祭りとか、昔からの場面に自然にいる感じあるよな」

Gusha「そうそう。“布”なのに背景になじむのよ」

Kenja「存在感あるのに邪魔しないんだよな」

Gusha「お前もう半分手ぬぐい側だぞ」

Kenja「側ってなんだよ」

Gusha「あとさ、柄に意味あるの知ってビビった」

Kenja「伝統柄な。青海波とか麻の葉とか」

Gusha「青海波、“穏やかな暮らしが続きますように”みたいな意味なんだろ?」

Kenja「そういう願いが込められてるな」

Gusha「急に深いじゃん」

Kenja「昔は今より、柄とか模様に意味持たせる文化強かったからな」

Gusha「俺、“なんか波っぽくて涼しそう”で選んでた」

Kenja「入口としては健全だよ」

Gusha「でも後から意味知ると、“あ、この人たちちゃんと考えてたんだ”ってなる」

Kenja「千年単位で残ってるものって、だいたい理由あるからな」

A close look at a tenugui (Japanese hand towel) with a seigaiha (wave) pattern.

Gusha「あと注染」

Kenja「お、覚えたか」

Gusha「最初読めなかった。“ちゅうせん”」

Kenja「まあ難しい字だしな」

Gusha「でもあの、ちょっとにじんでる感じ、いいんだよな」

Kenja「裏までちゃんと染まるし、機械っぽくない味がある」

Gusha「完璧じゃない感じがいい」

Kenja「お前ほんとそこ好きだな」

Gusha「だって全部キレイすぎると、なんか緊張するじゃん」

Kenja「まあ、均一すぎない安心感はあるかもな」

Gusha「手ぬぐいって、“ちゃんとしてない余白”がある」

Kenja「切りっぱなしだしな」

Gusha「最初あの端、“え? unfinished?”ってなったもん」

Kenja「急に英語出すな」

Gusha「でも使ってると、“あ、このままでいいんだ”ってなる」

Kenja「乾きやすさ優先なんだけどな、あれ」

Gusha「理由ある雑さ、好き」

Kenja「雑って言うと怒られるぞ職人に」

Gusha「でもさ、ちょっと思ったんだけど」

Kenja「うん」

Gusha「千年前の人も、風呂上がりに“あ〜……”って手ぬぐいで顔拭いてたかもしれないんだよな」

Kenja「まあ、そういう瞬間はあったかもな」

Gusha「それ考えたら、なんか変な感じしない?」

Kenja「変?」

Gusha「人類、ずっと同じことしてる」

Kenja「急にデカくなったな話」

Gusha「いやでも、“暑い”“拭きたい”“乾くと気持ちいい”って、ずっと変わってないわけじゃん」

Kenja「……そう言われると、ちょっと面白いな」

Gusha「スマホは変わったのに、そこは変わってない」

Kenja「で、布だけずっと横にいるのか」

Gusha「そう。しかも静かに」

Kenja「……なんか今、青海波ちょっと欲しくなってる」

Gusha「あら?」

Kenja「いや、まだ“欲しいかも”くらいだからな」

Gusha「あれ?」

A tenugui (Japanese hand towel) with a seigaiha (wave) pattern is gently swaying in the breeze.

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