気づいたら、カバンの中にずっといる布
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Gusha「……昨日、手ぬぐいでおにぎり包んだ」
Kenja「とうとうやったか」
Gusha「なんか悔しい」
Kenja「なんでだよ」
Gusha「いや、“そんな変わる?”って思ってたのに、めちゃくちゃ良かった」
Kenja「何が良かったの」
Gusha「コンビニのおにぎりが、“ちゃんと持ってきた昼”になる」
Kenja「気分の問題じゃねえか」
Gusha「でもそこ大事じゃん」
Kenja「まあ、否定はしないけど」
Gusha「あと開けるときちょっと楽しいのよ」
Kenja「包みをほどく感じな」
Gusha「そう。“はい本日のごはんです”って感じする」
Kenja「急に丁寧な暮らし始まるな」
Gusha「いや俺もビビってる」

Kenja「で、ちゃんと他にも使ってんの?」
Gusha「使ってる。昨日、髪巻いた」
Kenja「ターバン?」
Gusha「うん。でも途中で“俺なに目指してるんだ?”ってなった」
Kenja「まあ初心者あるあるだな」
Gusha「でも涼しかった」
Kenja「実用性は高いからな」
Gusha「あと、なんか家事できそうな見た目になる」
Kenja「見た目から入るな」
Gusha「いやでも、“今からちゃんとします”感あるのよ」
Kenja「スイッチになるのか」
Gusha「そう!頭に巻いただけなのに、“よし洗い物やるか”ってなる」
Kenja「不思議な布だな」
Gusha「しかも終わったあと、そのまま手拭ける」
Kenja「合理的ではある」
Gusha「で、洗って干したらもう夕方には乾いてる」
Kenja「そこはほんと強いよな」
Gusha「タオルだと、たまにまだ湿ってて“うわ…”ってなるじゃん」
Kenja「生乾き問題な」
Gusha「手ぬぐい、あんま引きずらないのよ」
Kenja「湿気を?」
Gusha「気持ちを」
Kenja「また始まった」
Gusha「いやでも、なんか軽いんだよ全体的に」
Kenja「布が薄いからな」
Gusha「違う違う。“暮らしへの圧”が軽い」
Kenja「その概念初めて聞いたわ」
Gusha「タオルって、“ちゃんと畳まなきゃ”“干す場所いるな”とかあるじゃん」
Kenja「まあ多少は」
Gusha「手ぬぐい、“そのへんで乾いときます”感ある」
Kenja「雑に扱える安心感はあるかもな」

Gusha「あとさ、この前カフェで隣の人が手ぬぐい使ってて」
Kenja「また仲間見つけたのか」
Gusha「しかも弁当包みから、そのまま膝に敷いてた」
Kenja「器用だな」
Gusha「で、帰るとき普通に首に巻いてた」
Kenja「使い倒してるなあ」
Gusha「なんか、“布と仲良い人”って感じした」
Kenja「その表現はちょっと分からん」
Gusha「いや、“使ってます”じゃなくて、“一緒にいます”なのよ」
Kenja「……でも、手ぬぐい使ってる人って、妙に自然なんだよな」
Gusha「そう!無理してない感じ!」
Kenja「便利グッズ感が薄いんだ」
Gusha「“革命!”とか言わないもんな」
Kenja「静かに便利なんだよ」
Gusha「それ。静か」
Kenja「なんか、生活の端っこにずっといる感じ」
Gusha「しかも文句言わない」
Kenja「布だからな」
Gusha「でもさ、逆に怖くなってきた」
Kenja「何が」
Gusha「一枚で色々できすぎて」
Kenja「万能だからな」
Gusha「昨日ついに、枕に敷いた」
Kenja「行ったなそこまで」
Gusha「気持ちよかった……」
Kenja「負けた顔してるぞ」
Gusha「いや、“これ以上仲良くなると戻れない”感じある」
Kenja「手ぬぐいに人生持ってかれるやつ初めて見た」
Gusha「でも分かるだろ?なんか、“足りてる”感じ」
Kenja「足りてる?」
Gusha「高機能じゃないのに、困らないのよ」
Kenja「……あー」
Gusha「むしろ、“これくらいでいいか”ってなる」
Kenja「それはちょっとあるかもな」
Gusha「全部完璧じゃなくていいんだ、みたいな」
Kenja「お前、毎回そこに着地するな」
Gusha「手ぬぐい、そういう顔してるから」
Kenja「どんな顔だよ」
Gusha「“まあ大丈夫でしょ”って顔」
Kenja「……今ちょっと、無地のやつ欲しくなってる」
Gusha「あら?」
Kenja「いや、富士山や鯉はまだ早い」
Gusha「あれ?」

手ぬぐい シリーズ
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