Who is the "Thank you" on the receipt addressed to?

レシートの「ありがとうございました」は誰に言っているのか

Gusha「俺さ、レシートに感謝されると申し訳なくなるんだよ」

Kenja「誰に感謝されてる話だ」

Gusha「レシートだよ。最後に『ありがとうございました』って言うじゃん」

Kenja「あれは店の言葉だ」

Gusha「でも書いてるの紙だぞ。紙が代弁してるんだぞ」

Kenja「代弁ではあるけど、紙に人格はない」

Gusha「いや、あいつ働いてるじゃん。印刷されて、切られて、渡されて」

Kenja「それを言ったらコピー用紙も毎日働いてる」

Gusha「コピー用紙は黙々と働くタイプ。レシートは最後に一言あるから営業向き」

Kenja「職業適性を勝手に決めるな」

Gusha「しかも毎回礼儀正しい。俺よりちゃんとしてる」

Kenja「そこは否定できないかもしれない」

Gusha「たまに財布開けると何枚もいるじゃん」

Kenja「あるな」

Gusha「全員が『ありがとうございました』って言ってる」

Kenja「言ってない」

Gusha「財布の中が送別会みたいになってる」

Kenja「何人送り出したんだ」

Gusha「『ありがとうございました』『ありがとうございました』『ありがとうございました』って」

Kenja「エコーか」

Gusha「しかも去年のレシートまで残ってると、一年前から感謝され続けてる」

Kenja「感謝の賞味期限が切れてる」

Gusha「むしろ熟成してる」

Kenja「味噌じゃないんだから」

Gusha「コンビニ、ドラッグストア、ホームセンター。みんな礼儀正しい」

Kenja「2026年でもそこは変わらないな」

Gusha「俺なんて知り合いに会っても会釈だけの日あるぞ」

Kenja「レシート以下になるな」

Gusha「だから俺、捨てるとき少し罪悪感ある」

Kenja「ありがとうと言われた相手をゴミ箱へ入れる感覚か」

Gusha「そう」

Kenja「でも役目は終わってる」

Gusha「卒業証書みたいに渡されれば捨てられないのにな」

Kenja「レジで店員さんが筒に入れて渡すのか」

Gusha「『本日は無事にお買い上げを完了されました』」

Kenja「卒業式だ」

Gusha「店長が泣いてる」

Kenja「泣く理由がない」

Gusha「BGM流れる」

Kenja「レジ一台止まるぞ」

Gusha「次のお客さん待ってる」

Kenja「大迷惑だ」

A young woman with a troubled expression opens her wallet in front of a convenience store, causing several receipts to fan out, while a man looks on calmly from the side; the scene has a comical atmosphere set against the backdrop of a city street at dusk.

Gusha「あとさ、レシートって最後まで喋るの偉い」

Kenja「最後まで?」

Gusha「商品名、値段、合計、ポイント、全部説明してから『ありがとうございました』だろ」

Kenja「確かに締めのあいさつではある」

Gusha「プレゼン上手」

Kenja「発表者じゃない」

Gusha「俺だったら途中で『もう疲れた』ってなる」

Kenja「紙だから疲れない」

Gusha「だからプロなんだよ」

Kenja「紙のプロって何だ」

Gusha「たまに長いレシートあるじゃん」

Kenja「買い物が多いとな」

Gusha「あれ最後まで『ありがとうございました』を運ぶために頑張って伸びてる」

Kenja「目的が逆だ」

Gusha「本当は途中で終わりたい」

Kenja「聞いたことない設定を追加するな」

Gusha「『もう十分伝わったよね』って思ってる」

Kenja「印字プログラムに感情はない」

Gusha「でも最後まで礼を言う」

Kenja「それは店の姿勢だ」

Gusha「いい店ほど、紙まで育ちがいい気がする」

Kenja「それは少し分かるような分からないような」

Gusha「だから俺、レシート丸めてポケットに突っ込むと、『ありがとうございました!』って叫び声が聞こえる気がする」

Kenja「聞こえたら病院じゃなくて、まず財布を整理しよう」

Gusha「財布開けたらさ」

Kenja「うん」

Gusha「静かなんだけど、なんか全員こっち見てる気がするんだよ」

Kenja「それは『ありがとうございました』じゃなくて、『そろそろ片付けてください』かもしれないな」

Gusha「……そのほうが刺さるな」

Kenja「たぶん一番伝えたいことは、最初からそこだったのかもしれないな」

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