輪ゴムは、なぜ最後に巨大化するのか
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Gusha「俺、輪ゴムの王国を発見した」
Kenja「どこにそんなものがあるんだ」
Gusha「台所の引き出し」
Kenja「ただの引き出しだろ」
Gusha「甘い。開けたら輪ゴムが百本くらい絡まってて、一匹の巨大生物みたいになってた」
Kenja「輪ゴムを匹で数えるな」
Gusha「しかも不思議なんだよ。最初はパンの袋とか、お惣菜とか、別々の出身だったはずなのに」
Kenja「出身地を与えるな」
Gusha「気づくと全員合流してる」
Kenja「それは置き場所が同じだからだろ」
Gusha「でもさ、クリップはクリップのままじゃん」
Kenja「輪ゴムほど絡まないからな」
Gusha「輪ゴムだけ異常に仲良しなんだよ」
Kenja「物理現象を友情で説明するのやめろ」
Gusha「この前なんて、一番外側の巨大輪ゴムを引っ張ったら、中からまた輪ゴムの塊が出てきた」
Kenja「マトリョーシカみたいに言うな」
Gusha「さらにその中にもあった」
Kenja「何層になってるんだ」
Gusha「輪ゴムキャベツ」
Kenja「食べられない野菜ができたな」
Gusha「俺、あの塊の中心には長老がいると思う」
Kenja「いない」
Gusha「五十年くらい前から生きてる輪ゴム」
Kenja「急に寿命が長い」
Gusha「色も茶色で風格あるぞ」
Kenja「それは劣化してるだけかもしれん」
Gusha「長老輪ゴムが若手を集めてるんだ」
Kenja「自治会みたいに運営するな」
Gusha「月例会議もある」
Kenja「議題は何だ」
Gusha「『今日はブロッコリー担当が欠席です』」

Kenja「どんな組織なんだ」
Gusha「『代わりにレタス担当が二重に縛ります』」
Kenja「責任感が強すぎる」
Gusha「会議の最後は全員で絡まる」
Kenja「非効率の極みだな」
Gusha「でも人間も似てるぞ。要るから取っといた物が増えていく」
Kenja「輪ゴムに限らずあるな」
Gusha「輪ゴムなんて使う時は一瞬なのに、保管期間だけ異様に長い」
Kenja「たしかに使い切れない」
Gusha「十本あれば十分なのに、なぜか七十二本持ってる」
Kenja「ずいぶん具体的な数字だな」
Gusha「さっき数えた」
Kenja「暇だったんだな」
Gusha「しかも数えてる途中で三本増えた」
Kenja「増えてない」
Gusha「お惣菜の袋についてた」
Kenja「ああ、新規加入か」
Gusha「ほら! やっぱり王国だ!」
Kenja「その理屈だと王国は毎日移民を受け入れてるな」
Gusha「寛容な国だろ」
Kenja「税金は?」
Gusha「輪ゴム税」
Kenja「どんな税だ」
Gusha「輪ゴムで払う」
Kenja「余計に増えるだけじゃないか」
Gusha「だから王国が発展する」
Kenja「破綻してるようで妙に筋は通ってるな」
Gusha「俺、未来が見えた」
Kenja「嫌な予感しかしない」
Gusha「百年後、引き出しを開ける」
Kenja「うん」
Gusha「輪ゴムが引き出しを収納してる」
Kenja「立場が逆転してる」
Gusha「巨大輪ゴム城の中で、長老が言うんだよ」
Kenja「何て?」
Gusha「『新入りです。本日入国したブロッコリー担当です』」
Kenja「まだ募集してたのか」
Gusha「おい、ちょうど輪ゴムあったぞ」
Kenja「何する気だ」
Gusha「今から輪ゴム税、納めてくる」
Kenja「どこに」
Gusha「引き出しの王国に向かって投げたら、もう一本増えた」
気づいたら、増えてる シリーズ
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